無借金経営とは、書いて字の如く、「借入金や社債が一切ない経営」のことをいいます。自己資金(資本金)と内部留保(剰余金)で経営を行うことですね。
無借金経営で有名な上場企業としては、任天堂があります。中小企業白書によると、2017年度では34.2%の中小企業が無借金となっています。

とはいえ、完全に自己資金だけで経営をしているわけでなく、買掛金や未払い法人税などがあるので貸借対照表上の負債が0円ということではありません。

借金のない経営は確かに安定的で、利息も払わなくていいし、決算書もきれいなので社会的(銀行からの)評価も素晴らしく、経営者としてはストレスなく経営ができるのですが、私はあまりオススメしません。

 

無借金経営をオススメしない理由

 

一言で言うと、『銀行とのつながりが弱い』ということです。
銀行とのつながりが弱いとどうなるかというと、

融資を受けたいときに受けにくくなる

ということです。
どういうことかというと、

「無借金経営=借入実績がない=返済能力に対する信用が弱い」ということです。無借金経営だからといって確実に審査が通るわけではないということなんですね。

金融庁のアンケートでは銀行格付正常先の中小企業のうち、約3割が融資を受けられなかったというデータもあります。

そうなると、2つの側面で経営にデメリットが生じます。

①事業拡大のタイミングを逃す
→使えるお金が出資金や利益剰余金などの内部留保に限られるため、新規事業や大規模設備投資がしにくくなります。また、無借金経営を保とうとすると、手元の資金の範囲内で考えることも多いため、投資機会を逃すこともあります。事業成長のスピード感も鈍くなります。

②何かしらの理由で経営が傾いてしまった時
→経営が安定しているうちは問題ないかもしれませんが、経営には何が起きるかわかりません。何らかの事情で自己資金が少なくなり、その時になって融資を申し込んでも融資が受けられるとは限りません。最悪、融資を断られることもあります。(その時は経営状況が良くないので)

この2つのデメリットは中小企業を「継続」させる上ではとてもおおきなデメリットです。

 

実質無借金経営とは?

 

そこでオススメなのは「実質」無借金経営というものです。

実質無借金経営とは銀行からの借入はあるけれど、現預金が借入を上回っていていつでも借入を返せるような状態です。万が一の場合でもいつでも返済が可能なので倒産のリスクが低くなります。もちろん、金利の負担もあるので一概にメリットだらけではありませんが、考え方によっては会社継続のコストと考えることもできます。よくわからない保険を入ったり、節税目的の経費を使ってキャッシュアウトするよりよほどいいコストの使い方かと思います。

会社は「借金がある」から倒産するのではありません。「お金が無くなる」から倒産するのです。

ただ、融資の受け方はしっかりと検討しないといけません。経営状態の良い時にいい銀行とお付き合いしておいて不測の事態や事業拡大のタイミングに備えることもとっても大切です。そのためには銀行に付き合いたいと思ってもらえる決算書を作っておく必要があるのではないでしょうか?